機械製図、CADについて「読める、書ける、使える」ことを目標としたサイトです。
出来るだけ簡単に分かりやすく説明しようと考えていますので、
機械製図はまず読めるようにすることから始めます。
そして、ある程度機械製図の図面が読めるようになりましたら、
書くときのポイントなどを解説していきます。 |
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機械図面を読もうある機械部品が在ったとする。それがどんな形で、どの位の大きさなのかを、 他人に正しく伝える手段 はどういうものだろうか。図を書くにしても人それぞれ書き方が違うので、意味が伝わらない事が多い。 製図はそういった事をなくす為にある。 製図が出来れば、誰に対しても正確に形状を伝えることが出来る。 ◆ 機械図面の種類 ◆第三角法
まずはこれだけを覚えておけば、ほぼ全ての立体は表現できる。 図を良く見てもらいたい。 3人の人が別々の場所に立っているのがお分かりだろう。 さて、自分が彼らの位置にいたとしたら、その物体はどのように見えるだろうか。 それぞれの人には、このように見えているはずである。 どれがどの位置の人に対応しているか考えてみて欲しい。 この考え方が出来た時点で、すでに第三角法はほぼ完璧だ! あとはこの3つの図を並べてしまえばもう完成である。 製図は分かりやすいものが一番である。 この図面でいう分かりやすさは、最も特徴の出ている面、 つまり階段状だという事が分かる濃い緑の面を上の図のように配置すると良い。 一応、それでもまだ少し難しいという人は、以下の図を見て想像を膨らませて欲しい。 左から見ている目が最初の図で左にいた人。 上から見ている目は最初の図で上にいた人。 そしてこの図面を見ているあなた自身が右にいた人となる。 分類
機械製図で主に使用する図面の書き方は第三角法だと述べたが、
大まかに分類すると投影法という部類になる。
現時点ではさほど覚える必要もないので、ここでは図だけ載せておくことにする。 ◆ 機械製図の線の種類 ◆
図を描くとき、一種類の線だけで書こうとしたら、
書き方はかなり限定されてしまうだろう。
複雑な形になればなるほど、表現の難しい部分が増えてくる。
そんなとき、点線などを使って、一方方向からでは見えない部分を描いたりする。
それ以外にも幾つかルールがあるので、覚えてしまえばかなり複雑な図面も描けるようになる。 基本的に太い線は0.7[mm]、細い線は0.3[mm]、文字は0.5[mm]で書くと良いが、 CADの図面上で分かりにくい場合は、ある程度変更してもさほど問題はない。 (CADなどを使用せずに手書きで機械製図を行う場合は、 専用のシャープペンがあるので、それを使用すると良いだろう。) 機械製図において一番やってはいけない事は、 ルールを無視することではなく、 何を表わしているかが分からない様に書いてしまう事だ。 ただ表を眺めるだけでは分かりにくいと思うので、例を示そうと思う。 ちょっと複雑だが、このような機械の部品があったとしよう。 これを第三角法で表わした図面を想像できるだろうか。 どの面を正面(最も特徴の分かる面)に配置するのかは、特に 明確な答えがある訳ではない。 よって私の書く図面と違う配置の図面を書いたとしても間違いではない。 まず、実線のみで上の機械図面を第三角法で表わしてみると、以下のような図面になる。 次に、それに波線(かくれ線)を追加すると以下のような図面になる。 そして、かくれ線を含む外形線を太くし、 中心線として一点鎖線を追加すると、以下のような図面になる 寸法線を追加すると以下のような図面になる。 寸法線の書き方については次の項目で述べることにする。 これでかなり機械製図らしくなってきただろう。 基本的な線の使い分けだけでもこのくらい複雑な形状を図面化できるのである。 ◆ 機械製図の寸法の表記 ◆直線
線の使い方に載せた図面を見れば、ある程度、
寸法の表記の仕方が分かってきているのではないかと思う。
しかし、寸法はどこにでも付ければ良いというものではない。
一般的には加工することを考えて書く。 基本的に機械製図の世界ではミリ単位で示す。 右上の図で20[mm]が2つ横に並んでいる部分があるが、端までそれで埋めてはいけない。 理由としては、例えば以下の様に、全体の長さは変わらず、20[mm]の所が一箇所30[mm]に変更になったとする。 その時、一箇所だけ変更になるわけではなく、右端の20[mm]だった部分が、10[mm]に変更しなくてはならなくなる。 その手間を省くために、 計算である程度寸法の出せる部分は記述しないことになっている。 機械図面は見にくくならない程度に、 出来るだけ寸法を一つの面に集中して書くと良い。 しかし、一つの面だけでは高さなどの寸法を示せないので、忘れないようにしよう。 円形
機械図面で円形(円柱や穴など)を表わす場合は、その直径や中心点の位置などを書く。
円形の中心点を示すために、軸として一点鎖線を図面に書く。
円柱を機械図面にすると、以下のようになる。これが基本の形である。
図の上は円柱の軸のイメージであり、見る方向によって、図の下の様な図面になる。
基本的に円柱は真横から見るとどの方向から見ても四角にしか見えない。
よって、第三画法を用いたとしても、2面だけ示すだけで十分なのである。 円柱の場合は、上の機械図面に直径と円柱の高さを記入する。 直径を記入する際、円の中心を通るように矢印を書き入れ、 直径寸法の前に「φ(ファイ)」を記入する。 この「φ」は「マル」と読まなければならない。 下の図面の場合は、「マル60[mm]」である。 機械図面として表わしたい立体に、円柱や穴が含まれていた場合、 表記の仕方は以下の図面のようになる。 しかし、以下の図面ように、円の軸を通らない寸法を記入する際、 見た目で円だと分かるものについては「φ」を記入しない。 機械図面において穴を表わす場合、以下の図のように、単なる穴、ネジ穴など、 幾つかの種類に分けられる。 一つの穴の場合、この図では特筆すべき事は無いが、 複数になると、矢印で伸ばし、図のように「4-φ10キリ」などと表わす方が、 見る方も書くほうも分かりやすい。 この文字列が何を表わしているかというと、 という解釈となる。 ちなみに、「キリ(きりもみ)」はドリル加工の事である。 機械製図において、ネジ穴の表記は、 ネジの谷の部分を太い線で表わし、山の部分を細い線で表わす。 文字部分の解釈も穴の場合と同じだが、「M10」の部分だけ、 「呼び径10[mm]の(ミリ)ネジ」となる。 もちろんネジだから「キリ」とは絶対書かない。 機械製図で穴、ネジ穴を横から見た場合の書き方も説明しておく必要がある。 穴が特殊な場合や、数が多い場合には断面図の描き方をする場合が多いが、 断面図についてはまた別の機会に述べることにする。 単純に一つ穴、一つネジ穴を横から書いた図面は以下のようになる。 そして、横から見たネジ穴に矢印を伸ばす場合は以下の通りである。 フィレット、面取り
機械部品には、角に丸みを帯びさせたり、斜めに削られているものがある。
このような状態にも名称があり、
丸みを帯びている状態をフィレットと言い、
斜めに削られている状態を面取りという。 これらの状態は様々な機械部品に存在するので、 製図の際の表記方法はより単純化されている。 以下の図のように、フィレットは「R10」というように書き、 「半径10[mm]」という意味である。 面取りは「C5」や「5×45°」などと書くが、 一般的に「C5」の方が主流である。 「C5」は「端の面から5[mm]位置を45°の角度で落とした」 という意味である。 さらに、面取りは通常の寸法の記述で表記することもある。 「C5」の意味が分かりにくい場合は、通常寸法で書かれている部分を見ると良いだろう。 ただ単純に、30°の部分が45°になっただけである。 このフィレットや面取り寸法を書く場合、注意しなければならいのは、 明らかに同じ寸法になる部分に書いてはいけないという事だ。 例えば、円柱の場合である。 以下の図の様な機械部品があったとする。 (フィレットの表現が分かりやすいように、CADで立体をつくった) 上の機械部品の図をみると、細い先端部分に面取りが、中間の径の先端にはフィレットが、 一番大きい径と中間の径とのつなぎ目にもフィレットがある事が分かる。 この機械部品を機械図面に表わすと以下のようになる。(直径などは省略) 間違えやすいのは赤い×印の部分である。 この機械部品は円柱状である為、片方にフィレットもしくは面取りがある場合、 もう片方も同じになるはずである。 機械図面は余計な記述をしない事を心がけて描かなくてはならない。 ◆ 次のステップへ ◆
この章でのコンセプトは「図面を読もう」という事だったが、
ここまで読み進めた人は、きっと既に図面をある程度書けるようになった事だろう。
描く気力が沸いているのなら、試しに何か図面を書いてみると良いだろう。
きっと、色々な事に気がつき、色々な疑問が沸いて来る事だろう。
それが勉強である。教科書を読むだけでは、技術は身につかない。 |
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